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【悲鳴伝】敵と正義と自分

悲鳴伝(西尾維新)

 2012年のクリスマス、世界中に響いた「大いなる悲鳴」は、世界人口の三分の一を削り取った。全くのランダムに、生き残った者には何の影響を残すこともなく、突然に三分の一の人類が死んでしまったのだ。




書評


評価:☆☆☆☆☆

 2012年のクリスマス、世界中に響いた「大いなる悲鳴」は、世界人口の三分の一を削り取った。全くのランダムに、生き残った者には何の影響を残すこともなく、突然に三分の一の人類が死んでしまったのだ。
 しかし、半年たった世界は、未だその原因が分からないにも拘らず、それを冗談のネタにしてしまうことを許すくらいの平穏を取り戻していた。私立山石中学校一年の空々空(そらからくう)にはそれが理解できない。

 小学生時代の野球のライバルだった少女の花屋瀟の紹介で、精神科医である飢皿木鰻の問診を受けた。そしてその結果、彼の住む世界は一変してしまう。帰り道に彼の前に現れた17歳の少女の剣藤犬个(けんどうけんか)にいきなりキスをされ、翌日は熱を出して寝込んでしまった空々空が次に目を覚ました時、家族はリビングで惨殺されていたのだ。
 両親と弟たちを唐竹割りやスライスにしたのは先日の少女。そして彼女について来た男は、地球撲滅軍第九機動室室長の牡蠣垣閂と名乗り、彼にヒーローとなって地球と戦って欲しいと言った。

 彼は言う。前の「大いなる悲鳴」は地球による人類虐殺の試みであり、有史以来、人類は密かにその地球のたくらみに抵抗して来た。人類社会には、人類と全く見分けのつかない、本人にも自覚のない地球のスパイ「地球陣」が紛れ込んでおり、空々空はその存在を見抜く唯一の存在である、と。
 家族を殺した剣藤犬个と同棲することになり、そのことを何とも思わない空々空は、言われるままに、地球陣だという女性を踏み殺す。子どものいる母親だという彼女を殺しても、何も感じない。

 しかし、多くの地球陣と、巻き添えとなった人間を殺してきたにもかかわらず、未だに良心の呵責を感じ、精神ブロック剤で感情を抑えつけながら、夜中に魘される剣藤犬个の姿を見たり、地球撲滅軍不明室によって、犬に擬態するよう改造され、空々空以外からは犬にしか見えなくなった幼女の左在存との逃避行を経て、彼は自らの戦うべき敵を見出して行くのだった。

 概念的倫理は持っているものの感情的倫理を持たない少年が、その示すところに従って行動していくに従い、多大な犠牲を払いながらも、それによって得た経験が少年を成長させていく様を描いている物語だ。
 ただ目が良いというスキルと、感情が希薄だという特性のみを利用しながら、本来なら怪人と戦うヒーローにも拘らず、何故かほとんど内部抗争に明け暮れるという展開に。親殺しの少女に惚れる展開はポピュラーかもしれないが、逆に惚れさせるというのは新しいかも。とにかくバンバン当たり前に死んでいく訳だが、このあたりは、命は等しく価値のあるものではなく、本人の重要度によって扱いが変わるという、当たり前の、しかし口にしがたい心理を説いているようにも思える。

 人類の中に紛れ込んでいるという設定は「めだかボックス」に通じるところもあるかもしれない。


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