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【スクリューマン&フェアリーロリポップス】疾走するエネルギー

スクリューマン&フェアリーロリポップス(物草純平)

 玖堂卓巳は幼少の頃の出来事がきっかけで、機械に触れると「ネジの悲鳴」を聞くようになった。もちろんそれは幻聴なのだが、機械という機械があまりに不完全で、それを締め付けるネジが軋んで悲鳴をあげているような錯覚に捕らわれるようになっていた。しかしその幻聴は、一人の少女との出会いで嘘のように消える。




書評


評価:☆☆☆☆☆

 玖堂卓巳は幼少の頃の出来事がきっかけで、機械に触れると「ネジの悲鳴」を聞くようになった。もちろんそれは幻聴なのだが、機械という機械があまりに不完全で、それを締め付けるネジが軋んで悲鳴をあげているような錯覚に捕らわれるようになっていた。しかしその幻聴は、一人の少女との出会いで嘘のように消える。
 雨の日のバス停で隣に座った少女は、まるでピーターパンのような服装をして、彼との出会いを運命だというと、キスをしてきたのだ。彼女の背には、まるでティンカーベルのような、美しい翅が見えた気がした。

 そのまま走り去って消えてしまった彼女のことを思っていた彼の前に、アルマン・レイニードと名乗る紳士が現れる。アルマンは玖堂卓巳を「比翼の騎士」と言うと、水で象られた暴れ馬を嗾け、彼を襲ってきた。命からがら逃げ出した卓巳は、自分の周りにたくさんの小人たちがおり、彼らが何かを作り出す能力を持っていることに気づく。
 危ういところを現れた巨乳の少女の真崎燎に助けられ、案内された先には、彼にキスをした少女ロロット・ニエンテ・アートレイアがいた。彼女の説明によれば、彼女は妖精郷(ティル・ナ・ノーグ)という異世界から来た翅族(アルフ)であり、アルマンや燎は妖精使い(チェンジリング)という、アルフから祝福を受けて能力を発現させた人間だという。そして、卓巳も先日のキスが切っ掛けで、その能力「名づけられぬ不可思議なモノ―イット」を開花させていた。

 イグレンシア・ジュネビス・マカルパインの騎士《氾濫せし暴れ馬》アルマン・レイニード、ロロット・ニエンテ・アートレイアの従者《菓子好きの誘い火》真崎燎のように、玖堂卓巳のイットは《矮小鬼工の職人団》と名付けられた。そして彼は、アヴァロンの円卓十三翅族、王家の候補者たちのみが祝福を与えられる特別な妖精使い「比翼の騎士」になったと告げられる。
 だがその比翼の騎士はアルフから忌避される存在らしく、ミューニシア・マクネリーというアルフの手先の人間たちに、卓巳は狙われることになる。

 一言で言うと、疾走感のある物語だ。見た目は可愛らしいのだけれど、停滞を嫌う秩序の破壊者でもあり、自らの直感に従う情熱家でありながら、意外に思慮深く事を進める少女と、女流四段の将棋棋士を母に持ち、冷静な決断力と行動力を併せ持つ少年がであい、べたべたいちゃいちゃしながら、異世界の革命を目指して体制に挑むという、破天荒なファンタジーとなっている。
 決して緻密な構成というわけではないし、勢いでごまかしている展開もあるのだが、とにかく疾走感が小気味良いので、個人的にはそれは粗ではなく美点のようにも感じている。続巻に期待が持てる作品だ。


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