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【旅猫リポート】人生の軌跡をたどる旅

旅猫リポート(有川浩)

 ある一匹の野良猫が交通事故をきっかけに、宮脇悟の猫となった。サトルが名付けた名前はナナ、雄猫である。





書評


評価:☆☆☆☆☆

 ある一匹の野良猫が交通事故をきっかけに、宮脇悟の猫となった。サトルが名付けた名前はナナ、雄猫である。
 そんな一人と一匹は、ある日、銀色のワゴンに乗って旅に出る。ナナの新しい飼手を見つけるため、引き取ると申し出てくれた人たちに会いに行くのだ。小学時代の友人の澤田幸介、中学時代の友人の吉峰大吾、高校と大学時代の友人の杉修介と咲田千佳子の夫妻。そして一人と一匹の旅は、サトルの叔母の香島法子のもとで終わりを告げることになる。

 ナナが語り部となっているため、行く先々で出会う犬や猫との会話も重要な要素で、人間が表に出さない言葉を表に出したりもする。猫のもらい手を探す旅でありながら、思い出に浸る旅でもあり、今の幸せを噛みしめる旅でもある。
 サトルに関する謎が、一章ごとに少しずつ開示されていくのだが、もう出尽くしたかと思ったところでさらに上乗せされる事実が、サトルの生き様をより鮮烈に彩っていく。そしてその謎が、彼がこれまで取ってきた行動に意味づけを与える構成となっている。

 最後はしんみりとした感じもするけどね。


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