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【東京より憎しみを込めて (1)】奪われた者の矜持

東京より憎しみを込めて (1)(至道流星)

 経済産業省の若手官僚だった月成拓馬は、震災復興関連のスキャンダルに巻き込まれて逮捕され、マスコミにより童貞オタクとのレッテルをはられ、挙句、懲戒免職となってしまった。もちろん、汚職に手を染めた事実などないが、検察による国策捜査とマスコミによる暴走の力には勝てない。エリートは、一瞬にして社会の最下層へ転落してしまい、日本銀行に就職した妹の月成千夏に迷惑をかける状況に陥ってしまう。




書評


評価:☆☆☆☆

 経済産業省の若手官僚だった月成拓馬は、震災復興関連のスキャンダルに巻き込まれて逮捕され、マスコミにより童貞オタクとのレッテルをはられ、挙句、懲戒免職となってしまった。もちろん、汚職に手を染めた事実などないが、検察による国策捜査とマスコミによる暴走の力には勝てない。エリートは、一瞬にして社会の最下層へ転落してしまい、日本銀行に就職した妹の月成千夏に迷惑をかける状況に陥ってしまう。
 菱野組、梧桐連合に並ぶ広域暴力団である六条会の中核を担う海音寺一家の親分の娘である海音寺詩乃は、画家として認められ始め、絵本作家としても売り出し中だった。しかし、父親が憲法違反気味の判決によって無期懲役となってしまい、海音寺一家を潰そうとする警視庁の追撃により、夢を捨てざるを得ない状況に追い込まれてしまう。アイドルのまねごとをしていた妹の海音寺雪奈も同様だ。

 マンションのローンを抱えたまま無職となってしまい、全国的に有名人になってしまったためまともな職業にも就けず、非合法なアルバイトに手を染めざるを得なくなっていた月成拓馬を、海音寺雪奈と、父親の兄弟分の赤星勇がスカウトにやってくる。そしてたどり着いたのは、世界に復讐を誓う悪の組織だった。

 生きるために状況に流されるままに転落しかける元官僚と、生きる苦労はなまじ不要な分、理念的な戦いに身を投じる決意をした元絵本作家の出会いまでを描く。テーマは面白いのだけれど、今回はキャラクターにいまひとつ不安アリかな。


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