fc2ブログ
ライトノベルを楽しんで読もう! ホーム » ハロー、ジーニアス(優木カズヒロ) » 【ハロー、ジーニアス (3)】自分の力だけでは飛び越えられないバーも


【ハロー、ジーニアス (3)】自分の力だけでは飛び越えられないバーも

ハロー、ジーニアス (3)(優木カズヒロ)

 第二科学部に迫っていた廃部の危機はひとまず去った。雨降って地固まるというべきか、災い転じて福となすというべきか、ジーニアスの海竜王寺八葉にも同性の友人・有屋美月ができた。それは竹原高行にとっても良いことのはずだ。



書評


評価:☆☆☆☆☆

 第二科学部に迫っていた廃部の危機はひとまず去った。雨降って地固まるというべきか、災い転じて福となすというべきか、ジーニアスの海竜王寺八葉にも同性の友人・有屋美月ができた。それは竹原高行にとっても良いことのはずだ。
 しかし、ひとつの変化は新たな変化をも引き起こす。まずは学生的に問題なのが、成績不良者に対する夏休みの補習が厳しくなったこと。一番まずいのは、赤点領域にいる有屋美月だ。そしてもうひとつは、海竜王寺八葉の体調不良。特化領域<ブランチ>が未だ定まらないことによる体調不良らしく、生体工学のジーニアスで八葉の知り合いのクリストファー・オランドが第三学園にやってくる。

 八葉を治療のためにフランスへ連れ去ろうとするオランドに対し、高行は八葉に海外にいって欲しくないと思いつつも、彼女の体調のことを思うとそれを素直に告げることもできない。そこで彼は、オランドとひとつの賭けをすることにしたのだった。

 大切だから側にいて欲しい。大切だから迷惑をかけたくない。対立する二つの思考のいたる結果は、結局は自分の心を殺し、相手を尊重するような答えを選び取ることになるのかもしれない。しかしここでひとつ確認すべきなのは、その二つの思考は本当に対立しているのかどうか、だ。
 もう少しよく考えてみよう。何か前提は間違っていないだろうか。上手く対立をすり抜ける答えがあるのではないだろうか。考えを避けてしまう部分に無理矢理押し入り得られるものは、自分を殺さず、相手を傷つけずに済む、とても都合の良い答えかも知れない。

 八葉も高行も、相手から未来を奪いたくない一心で、安易に身を引く答えに飛びつこうとした。それが相手のためなのだと信じた。だが、そうではないと彼らに気づかせてくれたのは、彼らが手に入れた他の人との絆がもたらしてくれたものだ。
 自分の利益に囚われず、本当に望む答えに挑む背中を押す。それが正しく友人の仕事なのだと思う。

関連記事






にほんブログ村 本ブログ ヤングアダルトへ
にほんブログ村
人気ブログランキングへ


コメント
非公開コメント

トラックバック

http://lightnoveltanoshimu.blog77.fc2.com/tb.php/921-240991ce

src=